合葬墓苑の設置を区に求めます

【要旨】

北区で長生きする施策を掲げる道義的責任として、合葬墓苑の設置を区に求めます。
以下に墓地行政は福祉であるべき経緯及び理由を述べます。

【理由】

人生100年時代における健康長寿社会の実現に向け、住み慣れた地域で自分らしく輝き安心して暮らしていける北区をめざす。
「長生きするなら北区が一番」のさまざまな施策の成果により、高齢者人数比は25.4%で、都内トップです。また、平成23年度 北区全高齢者実態把握調査報告書では、一人暮らし世帯24%となっています。
「長生きするなら北区が一番」の優先施策の延長上に「終活」に寄り添う福祉的施策がなければ区政の一貫性に欠け、「長生き」を優先施策に掲げる資格はありません。
ここに、永続性の面で適格性が高い地方公共団体が、宗旨・宗派を問わない事業型墓苑を区民に提供することを求めます。

《 住み慣れた土地に終の棲家を区が提供するとは》
地域の行く末を「あの世」から照護できる(草葉の陰から見守る)安心を提供する事です。そこは、個人の尊厳とコミュニティに生き貢献した証としての場所です。
その安心·安寧·安穏な現世の地域への敬愛、誇りや愛着を育み、住民の福祉の増進を図ることが出来ると考えます。

【「何で北区がやるの!」委員会における議員の疑問に答えます】

※議員集団における一般区民と比べた墓地に対する関心度の低さの要因を考えました。
◯地元出身ステイタスがある、二世三世議員で選挙区内の菩提寺で墓を継承している。
◯党派の関係団体が墓地を持つ、
◯党派で幹部の埋葬地を持つ等々。
【北区には周りの区と比べてお寺さんや墓地や葬祭環境がイマイチなのです】
【では、何故北区にお寺が少ないのか歴史的経緯から考えます?】
《「本郷かねやす」以北は町の外》
早い話が、本郷三丁目交差点「本郷もかねやすまでは江戸の内」と言われる「かねやす」以降は江戸の外れで、本郷通り沿いの寺町は、江戸幕府が寺院を城の出丸(前進基地)や軍団の集合場所(将兵の宿舎)として利用した名残りです。また、江戸市民が菩提寺とするのも、ここ迄でした。
寺院は本駒込まででピタリと無くなります。そこから先は「在」(ざい)、町方ではない、地方という認識でした。そこには在所を支える規模のお寺が点在しました。

【江戸期の王子は都市近郊レクリエーション地域】
当時の王子の立ち位置。春は飛鳥山の桜、夏は王子七滝の涼、秋は滝野川の紅葉、王子稲荷社、王子権現社の料亭等々、郊外のレクリエーション地帯だったのです。

【北区は地理的、歴史的に葬送環境が乏しい状況にある】
北区には江戸時代に大伽藍を持つ寺院が、存在しましたが、幕末の火災とその後の廃仏毀釈で廃寺となり、復活はしたが、往時の隆盛はありません。
関東大震災後の都市整備で、日本橋の魚河岸の築地本願寺寺内町移転の際に立ち退いた50カ寺の寺院は足立区(伊興寺町)、大田区、調布市等に移転して、寺町を形成しました。
明治以降、水利があり、空いてる土地に近代的軽工業製紙業が発達し、人口は増えて、東京都(府)は公営墓地開発で対応しました。しかし、北区は既に工業地帯及び軍都として土地は利用され尽くしていて、寺町や都による霊園は開発されませんでした。都営霊園も現在ではパンク状態です。募集は無縁仏頼りで、細々とした分譲しかありません。

【隣接区の寺院及び斎場の状況】
○豊島区→都立染井霊園、都立雑司ヶ谷霊園(斎場付き)
○足立区→都心から移転した寺院群、伊興寺町寺。自然と未開発の土地が残っていたので、各寺院が開発した墓地、霊園がある。
○荒川区→日暮里の寺院群。町屋斎場(火葬場)。霊園が充実したエリア。
○板橋区→戸田葬祭場(火葬場)、舟渡斎場(旧板橋区立舟渡斎場)。
農村地帯で土地はあるので霊園はあります。
また、北区には上述した荒川区や板橋区のような火葬施設や区が指定する整った葬斎システムはありません。
以上の経緯から、北区は地理的、歴史的に葬送環境が乏しい状況にして、墓地行政の遅れは指摘できると思います。

【北区の公営墓地及び葬祭の方向性】
以上の事情から、残念ながら北区は地理的及び歴史的に周囲の基礎自治体と比較して葬斎リソースが乏しい環境にあり、区が合葬墓苑の経営主体となることは行政の責任の範疇と考えられます。

【最近の社会的葬祭事情】
《終の棲家も住み慣れた地域で…のニーズ》
北区は北区以外の地域出身者が多い。遠方の故郷に先祖代々の寺があっても、お参りに行きにくい人、お参りが大変な遠方な郊外の山中の大規模霊園にお墓を用意しても、死後に誰がお墓の面倒を見てくれるのか不安に思う人等々がいます。最近は住み慣れた近場に終の棲家を求める傾向があります。

【ビル型納骨堂の事件】
2022年10月の札幌ですが、「気軽にお参り」が売り文句の永代供養の納骨堂を経営していた宗教法人が破綻し、遺族らの間でトラブルになっています。「ビル型納骨堂」は「手軽」「身寄りがない」との理由で、東京都内など都市部でも人気ですが、ビジネス要素が強く、危うさも残ります。
福井や大阪でも経営破綻のケースはあり、東京では破綻こそないものの経営譲渡など、ビル型納骨堂の不安定要素はあります。

【因業なる院号の話】
「金融資産の高齢化」で、世帯主の年齢が60歳以上の世帯(60歳以上世帯)が保有する金融資産は家計金融資産全体の6割を超えます。このように高齢者に偏在する金融資産に、1000万円院号等の懇志請求は資産移転のシステムとして、寺院はビジネスチャンスと考えて、一般的価格は高昇傾向です。
ST区のSG宗のお寺さん、納骨堂と戒名で1千万円とはすごいです。確かに、高いけど、みんなが必要ないものなんだから価値をあげても良いと思ったのでしょう。
法名もお葬式のお布施もそうですが違和感だらけです。お布施は高級外車に姿を変えます。

《永代供養とは》
お墓のカテゴリーで、跡継ぎを前提としないお墓のこと。将来にわたって墓(合葬墓)の管理(供養)を経営者に委ねるいわゆる「永代供養墓」の場合では、「永代供養料」として、管理料を一括して前払いし、使用料とあわせて一体のものとして払い込みます。

《北区における合葬墓へのニーズを考える》
「次の世代に迷惑をかけたくない」「お参りも簡単」という気持ちから、合葬墓を受け容れる環境は整いつつあります。

《築地の寺の市場調査から》
築地の寺が合葬墓を作ったら、驚愕の申込みがあったそうです。仕掛けたのは、元経営コンサルタントの輪番(責任者)でしたから、市場調査に抜かりはありません。
その調査からは家に遺骨を保管している、お手元で供養されている多くの方の状況が見えてきたそうです。
日本には「墓地・埋葬に関する法律」がありますが、この法律で定められているのは「遺骨を埋葬・納骨をする場合、自治体が認めた場所にする」ということです。

《御遺骨の行方》
遺骨の最終的な行き場所を考えておく必要があります。
※葬儀の際に手元供養に分骨しておく、分骨には手続きが必要です。火葬場に「火葬証明書(分骨用)もしくは分骨証明書」を分骨する数の分だけ発行してもらいます
北区に隣接する 都立染井霊園の費用目安は一般墓252.4 万円+墓石代とあります。都立谷中霊園も同等です。青山霊園など手が出ません。近場は高価です。
「近況のご報告やお彼岸のご挨拶を」という具合にはなかなかいきません。
アクセスが抜群によい地元で故人に思いを致す事はありがたいはずです。
また、故人も、一族郎党の墓所でもなく、縁もゆかりもない土地や郊外の山奥より、自分が暮らした地域で、子孫や友人を見守り、庇護していたいと望むはずです…と考えるはずです。
「死に臨んで、死にゆく者が、残された家族等に迷惑をかけたくないという思いや迷い」から解放するのは行政の役割りと考えます。

《墓地行政は福祉》
墓地行政として近場に合葬墓の提供と死者の尊厳を区民に提供する事は本来中心にあるべき福祉サービスと考えられます。安心した死後の保証として福祉的視点から墓地の有り様を構想せねばならないと考えます。誰一人、ご供養し残してはいけません。
公営墓地が少ないと云う「墓地行政の貧困」批判とは、個人の尊厳が守られる「福祉」の基礎としてのあり方についての問題提起です。

【墓地を「福祉」と捉える視点】
《死者の尊厳を守る》
厚生労働省(旧厚生省)は「衛生」行政としての墓地行政に関わりました。
今後は墓地と関わる「福祉」の行政視点による、死者の尊厳性の確保という地方自治体の今後の施策が期待されています。

【北区における公営的墓所の事例】
区役所の川向うの正受院境内の慈眼堂は平成に建て替えられた赤子供養の仏堂ですが、赤ちゃん寺と呼ばれでています。
『北区史』によると、そもそも、赤ちゃん寺の名の由来は、江戸時代から札所として独立した観音堂を持っていたことから、昭和23年の優生保護法施行を機に、昭和29年頃に東京都の衛生局と、赤子の納骨及び供養をする寺として話がまとめられたことに由来するという事です。

《合葬墓苑候補地》
区役所隣接、阿弥陀堂の墓地整理及び墓苑化が最善と思われます。
※墓地の改葬の際、墓地使用者との合意形成や無縁墳墓の対応等が必要であるが、管理上、最適地と考えます。

《合葬墓苑の形式》
「永代供養」として、御遺骨を預かり、個別に安置して、数年後に合葬。戒名、法名はなしで、本名を記述します。
故に葬儀の際に戒名·法名とは、亡くなってからつける名前ではないので謝絶することは可能です。

【納骨の方法】
多くの人がほかの人とお骨が混じる合葬に抵抗感があることから「ご遺骨はすべてお預かりし、パウダーにして個別のお骨袋に入れた状態で納骨堂に収蔵する」というかたちに出来ればと考えます。
合同墓と聞くと奇異に感じる人がいるかもしれませんが、実はすでに全国にあります。なぜなら、先祖代々のお墓でも納めるスペース(カロウト)には限度があります。
まお骨が多くなりすぎたら古いお骨を出し、どこのお寺にも必ずある合葬墓に入れるというやり方は昔も今も変わりません。

《ご供養は合同法要》
秋分の日(祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ:祝日法)に合同法要を行います。

【今後の課題】
《都内火葬場が中国人企業に売却、外資によるインフラ事業の独占問題》
東京23区の落合斎場、桐ヶ谷斎場、堀ノ内斎場、町屋斎場、四ツ木斎場、代々幡斎場
6か所火葬場を独占的に運営する東京博善が中国企業により買収されてしまいました。
葬祭業者に対する割高な使用料の請求等の混乱が起きつつあります。
多死社会の到来が予測される中、日本人の死が中国のビジネスチャンスとなり支配されて、利益が国外に流れる現状は、何としても改善されなければならないと考えます。
北区は、幸運にも、隣接する株式会社 戸田火葬場は安泰です。現在の区営の北区セレモニーホールの運営はゼロから見直して、戸田斎場、永代供養合葬墓苑と連携させる。新たに、管理者を募集する事が考えられます。

特集記事

くらしなやすお
北海道,本州,東北,北陸,関東,関西,近畿,山陰,四国,九州,青森,岩手,秋田,宮城,山形,福島,東京都,神奈川,埼玉県,千葉,茨城,群馬,栃木,愛知,静岡,三重,岐阜,新潟,長野,山梨,石川,富山,福井,大阪府,京都,奈良,兵庫,滋賀,和歌山,岡山,広島,鳥取,山口,島根,愛媛,徳島,高知,香川,福岡,佐賀,長崎,大分,熊本,宮崎,鹿児島,沖縄
TOP